経済・政治・国際

2017年7月21日 (金)

「エイジノミクス」で日本は蘇る - 高齢社会の成長戦略 (吉川洋・八田達夫編著、NHK出版新書)

今回は、表題の新書を紹介させて頂きます。

日本にとって今、最大の課題は「高齢化」だ。では日本はピンチなのか?答えはノー。高齢化に対応するイノベーションが起き、それを多方面に応用すれば、需要もGDPもまだまだ伸びるからだ。

マクロ経済学とミクロ経済学の両大家が組んで「高齢化イノベーションの経済学=エイジノミクス」を提唱。創薬、ロボティクスから自動運転、混合介護、雇用改革まで、最先端の実例を豊富に収集・分析して、日本経済成長の途を説く!

https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000885222017.html

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2016年1月12日 (火)

エイジノミクス

Ageing Economicsの合成語(造語)。エイジノミクス研究会(共同座長:吉川洋、八田達夫)が提唱する概念で、エイジング(高齢化)という人口構造の変化をイノベーションの機会と捉え、持続可能な経済のあり方を考察する経済学・経済政策のこと。

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2014年10月26日 (日)

エイジノミクス : 高齢化をチャンスと成長に変える経済 - 岡本憲之

 多くの人は高齢化に対して、「暗い」あるいは「衰退」といったイメージを持っているようだが、それは先入観である。実際イノベーションは変化の過程で起きる。エイジングすなわち人口構造の変化、これはイノベーションの機会である。日本をはじめ世界的に高齢化が進む中、経済の持続可能な発展に向けた道筋を改めて探るべきではないか。まさにそれこそがエイジノミクスである。

 

先端医療技術の進歩など技術的ブレークスルーはイノベーションを生み出す。しかし技術だけではない。例えば高齢化は、分厚く多様でアクティブな高齢層が新たに生まれる変化である。新たなライフスタイルやワークスタイル、あるいはエンディングスタイルが登場する。また高齢社会対応のインフラや地域支援制度等新たな社会システムへの移行、共助文化の醸成、あるいは多世代共創による新たな相乗効果の創造など、すべてがイノベーションを生み出す機会となる。まさにエイジングはイノベーションの宝庫である。

 

いよいよ本格的な超高齢社会を迎える日本。これからの日本は、かつての1回きりの人生「単作時代」から、平均寿命90歳を超える人生「二毛作時代」へと向かう。そしてイノベーションの機会も2倍に増える。来るべき未来で待っているのは暗く衰退する社会ではない。イノベーションに満ち溢れた、明るく活力ある社会である。そんな超高齢社会を実現することを、高齢化で先頭を走る日本が世界に向けて宣言しよう。

(注)「エイジノミクス」ということばは、2014年7月7日に、「第3回高齢化世界会議(WAA22)」招致推進の会(準備会、三菱総研会議室)の席上で発案された。岡本憲之の趣旨説明の途中で、林玲子氏が発言したものである。

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2014年3月15日 (土)

高齢者の就労活動 - 「高活」のすすめ(2)

 今日も昨日に続いて「高活」について述べる。学校を出て社会人になるための活動は、一般に会社や仕事を選んで決める就職活動から始まる。これを「就活」と呼ぶ。そして今は人生二回時代である。定年退職後、二回目の人生となる高齢期に活躍できる場を探す活動、これを「高活」と呼ぶことにした。

 「高活」によって自分に適した活躍の場や働き方が見つかると、収入や生きがいが得られるだけではなく、健康にも良いことがわかってきた。ただし、それはあくまで自分自身にとっての「高活」のメリットである。

 実は「高活」には自分以外の者にとっても大きなメリットがある。それは配偶者にとってのメリットである。定年退職後の夫を称して、樋口恵子氏いわく「濡れ落ち葉」、上田研二氏いわく「産業廃棄物」・・・・・とか。これらはいずれも妻の立場からみた夫の呼称である。

 最近、新聞で「夫源病」という言葉を見かけた。定年退職後に家でブラブラする夫が原因で起きる妻の病気ということらしい。例えば夫の態度で妻に頭痛やめまいの症状があらわれる。その態度の典型的な例は、①「誰に食べさせてもらっているんだ」などという高圧的な口癖、②妻が今日の出来事などを話しても「上の空」、③定年退職した途端「妻にまとわりつく」、だそうである。

 夫が外で活躍してくれれば妻の夫源病も治る。つまり夫の就労は、夫自身にとっても妻にとってもメリットがあるのだ。定年退職後の高齢者に「高活」をすすめる所以である。

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2014年3月14日 (金)

高齢者の就労活動 - 「高活」のすすめ(1)

 戦後しばらくの間、人の寿命は60年、一度きりの人生と言われた時代が続いた。多くの人は先ず、学校を出て働く会社や仕事を決める活動を始める。これを今風の言葉で言えば「就活」となる。その後、人生の伴侶を決める活動を行う。「婚活」である。そして住まいを決める「住活」と続き、最後は定年退職でおしまい。残りの人生は余生とか老後とか呼ばれ付け足しみたいなもの。死んだ後のことは残された家族にお任せといったパターンが一般的であった。

 しかし、その余生や老後がとても長くなってしまい、二回目の人生を考えなければならなくなった。何かを決める活動という意味の言葉「○活」も増やさなければならなくなってきた。そこで最初に出てきた言葉は、人生の終わり方を決める活動すなわち「終活」である。延命治療をするかしないか、葬儀は家族葬、お墓は散骨でもよいとか、いわゆるエンディングノートなどに生きているうちに自分で決めて書いておく活動である。

 そしていよいよ二回目の人生の始まり方を決める活動が登場してきた。社会人として一回目の人生を始めるための就職活動が「就活」とすれば、高齢になって二回目の人生を始めるための活動を「高活」と呼ぶことにする。つまり高齢者の新たな就労活動である。

 高齢者の就労には、若干の収入が得られるだけではなく他にも良いことがある。それは高齢者の生きがいになり健康にも良いことがわかってきた。ただ高齢者が選んで決めるには、まだまだ就労の機会は少ない。高齢化が急速に進む我が国では今後、高齢者の就労機会をもっと増やしていかなければならない。そのためにも、この「高活」という言葉を普及させていきたいと考えている。

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2013年12月 8日 (日)

中国防空識別圏の本質は何か

 中国が一方的に防空識別圏を設定した。これに対し日本政府が抗議したのは当然である。仮に領土問題を棚上げしたとしても、何ら事前の国際的手続きを踏んでいないからである。

 もちろん中国が防空識別圏を設定したこと自体大きな問題であるが、今回の事態でもう1つ懸念を感じることがある。それは中国政府が軍をコントロールできているのかという懸念である。

 中国政府(外務省)の報道ぶりを見ていると、どうやら中国外務省は今回の事案でも蚊帳の外に置かれていたように見える。軍が行ったことを後追い的に報道しているにすぎないように見えるのである。

 ご承知の通り中国は共産党一党独裁の官僚国家である。そして官僚国家では、省益あって国益なしといったことがしばしば起きる。つまり省益を優先する。そう考えると戦前の日本がそうであったように、中国の軍事官僚が軍益を優先して行動することは起こり得ることである。しかも政府のコントロールを離れてである。

 恐ろしい想像であるが、中国では軍が軍の論理で暴走を始めたのではないか。そんなことが脳裏をよぎる。戦前の日本で軍が暴走し最後は太平洋戦争にまで突入してしまったように、中国軍が暴走を始めたのではないか。

 そんな想像は単なる杞憂であってほしい。悪夢が現実のものとならないように祈るのみである。

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2013年11月17日 (日)

「高活ビズ起業塾 ナノコーポのすすめ」第6回セミナーのご案内

 今日は、日本シンクタンクアカデミーの連携団体である一般社団法人高齢者活躍支援協議会(以下、高活協)が昨年から始めた「高活ビズ起業塾 ナノコーポのすすめ」のご案内をさせて頂きます。
 高活ビズ起業塾では、リスクの小さな小規模ビジネスである「ナノコーポ」という新たな形で高齢者が起業する働き方を提案しています。
 今回は、FC、代理店などの選び方の紹介のほか、シニア層を対象に起業した責任者や代理店ビジネスの担当者の方々に具体的なビジネスモデルの紹介や起業する際の留意点などをお話し頂きます。

-第6回セミナーの内容は以下の通り-

●題 目:第6回高活ビズ起業塾 「開業コンサルティング・FC、代理店などの選び方」
●期 日:平成25年12月7日(土) 13:00~17:00
●講 師:
◇FC、代理店などの選び方 高活協理事 上田信一郎さん
◇株式会社 かじワン  代表取締役 有我 昌時さん
 福祉・介護等のソーシャル事業への架け橋に、「家事代行サービス・かじワン」
◇株式会社 高年社60 代表取締役 小松 剛之さん
 気力・体力・知力のある方に働く場と生きがいを、高年者専門の人材派遣
 高齢者専門のジョブカフェ「シニアキャリアサポートセンター」を開設
◇FC(外資系保険)代理店の責任者 (交渉中)
 *都合により講師を変更する場合があります。
●会 場:女性就業支援センター(4階 第1セミナー室)
 東京都港区芝5-35-3 TEL.03-5444-4151 ・JR「田町駅」三田口より徒歩3分)
●受講料: 2,500円   
●定 員: 35名
●お申し込み・お問合せ先:
 一般社団法人高齢者活躍支援協議会(セミナー事務局)
 info@jcasca.org TEL.03-3256-7521  FAX.03-5295-3855

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2013年11月 5日 (火)

自立型ロボット兵器の恐怖

 最近、無人戦闘機やロボット兵器に関する話題が取り上げられる機会が増えてきた。実際、米国の無人機がテログループのリーダーを殺害したなどといった類のニュースもよく耳にする。

 そんな中、問題になっているのは自立型ロボット兵器の開発である。無人機にせよロボットにせよ、これまで敵を殺害するかどうかの判断は、遠隔操作等を通じて人間が下してきた。それが自立型ロボットになると、殺害の判断までロボット自身が下す恐れがあるというのだ。

 人がロボットの意思で殺される時代がくるかもしれない。そんなこと考えるだけでも恐ろしいことである。ロボットには倫理観のような感情がない。あくまで状況データを機械的に分析し、機械的に判断を下す。

 現在、核兵器や化学兵器のような大量破壊兵器の拡散を防ぐための国際的な枠組みは存在するものの、自律型ロボット兵器の規制に関する仕組みは未整備である。

 人間の遺伝子操作などと同様、自立型ロボット兵器についても倫理的な規制に関する国際的議論を深め、一刻も早く殺人ロボットを防止するための枠組みを構築する必要があるのではないか。

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2013年10月20日 (日)

規制緩和特区 - 悪用を許さない規制も

 政府が検討している国家戦略特区では規制の緩和が目玉になる。企業活動を縛る様々な規制を緩め、外国を含む企業の投資などを活発化させ成長を促すのが狙いである。

 しかし政府が強調するのは規制緩和の正の側面である。当然反対派は規制緩和の負の側面を強調する。例えば今回は見送られた解雇ルールの見直し、マスコミも解雇特区などと煽り反対派を勢いづかせた。

 そもそも規制緩和を実施すると必ずそれを悪用するグループが登場する。つまり本来の趣旨とは正反対の目的に規制緩和を利用するグループである。例えば解雇特区でひたすら首切りだけに励む企業があらわれないとも限らない。

 そこで重要なことは、そんな企業の動きに対する規制の網も同時にかけることを忘れてはならない。つまり規制緩和の一方で、その本来の趣旨に反する行動を縛る規制を強化するわけである。

 結局規制緩和特区は、正しい行動をする企業にとっては本当に規制緩和となるが、それを悪用する企業にとってはむしろ規制強化になることを思い知らせることが肝要ではないかと思う次第である。

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2013年9月17日 (火)

就労と社会保障 - 「年齢」基準から「能力と所得」基準へ

 総務省の推計によると、我が国における65歳以上の高齢者人口は、前年より112万人増えて3,186万人(今月15日現在)となった。実に総人口の25%が高齢者である。しかもこの割合は今後ますます大きくなる。

 これだけ高齢者の数が増えると、現役を引退してブラブラし始める高齢者が巷に溢れてくる。その多くは元気であるにもかかわらず、生活費は年金頼りである。そしてその年金を支えるのは、若い世代を含む就労中の現役世代である。

 そもそも現在の就労や年金などの制度は年齢が基準になっている。雇用義務や年金支給開始などは、いずれも65歳という年齢が基準になっている。当然65歳以上が増え65歳未満が減ってくれば、支える側と支えられる側のバランスが崩れ制度の維持が難しくなる。

 高齢化に伴ってそのような問題が起きるのは、就労制度にしても社会保障制度にしても年齢が基準になっているからである。したがってこれを能力や所得基準に改めるべきである。十分な能力があれば65歳以上でも雇用され続ける。十分な所得があれば65歳を過ぎても社会保障費を負担し続ける。もちろん何らかの理由で能力や所得が十分でない高齢者に対しては、65歳という年齢がセーフティネットの役割を果たすことになる。

 結局、就労や社会保障における従来の年齢基準を能力や所得基準に変更することこそが、アベノミクスの掲げる全員参加の社会を実現する近道ではないだろうか。

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